9月中旬になって急に涼しくなり秋の気配を感じています。
秋と言えば食欲の秋、ということで、秋の味覚に関しての情報がたくさん出回っていますね。
私は”秋の味覚“と聞くと必ず思い出す子供の頃の出来事があります。
小学生のころのことです。私は田園地帯に住んでいました。稲刈りが終わった田んぼを駆け回ったりして遊んでいる子供でした。
小学2年生か3年生のことだったと思いますが、そうして田んぼを駆け回っていたら、田んぼの隣に、柿の実がなっている木がたくさん植えられている一帯に辿り着きました。今考えると、たぶん、柿農家の果樹園だったんだろうと思います。
小学生だった私は、当然に、柿が食べたくなります。で、果樹園という認識がなかったので、「おー!柿がたくさんなってるー!」と感嘆したのを覚えています。
友達と3人くらいだったと思いますが、勝手に柿を捥いで食べ始めました。うまかったですね。それもよく覚えています。
勝手にといっても、1個だけです。食べ放題みたいに、どんどんムシャムシャ食べていたわけではありません。1個捥いで友達と一緒に柿の木の傍らに座って食べていました。
そうしていると、大人が近づいてきました。そう、柿の果樹園の方です。
普通の展開だと怒られるのですが、その方は優しく語りかけてきました。
「ここの柿は勝手に生(な)っているんじゃないぞ。おいしくできるように育ててるんだ。売るために。だから、勝手に獲っちゃいかんよ。で、柿はうまいか?」
これを言われるまで勝手に生っている野生の柿だと思っていたので、申し訳ない気持ちになりました。そして、「柿はうまいか?」との問いかけに「すごくおいしい!」と答えました。
すると、「そうか、よかった。ちょっと待ってて」と言って、近くの小屋へ行きました。
数分して戻ってくると、たくさんの柿が入った3つのビニール袋を私たちに渡しました。
「少し傷がついて売れない柿だけど、よかったら家の人にも食べてもらってくれ。」と言ってくれました。
家に帰ると、親には結構怒られた気がします。
あの時食べた柿の味は忘れられないくらいおいしかったです。
これが、私の秋の味覚、柿の思い出です。