岸田首相が福島第一原発を訪れました。ALPS処理水の海洋放出決定を前にした地ならしのためです。風評被害を受けることが予想される漁業関係者とも面会します。
東日本大震災の原発事故以降、福島第一原発は廃炉に向けて作業中ですが核燃料を冷却する必要があり、その冷却に使って汚染された水の処理が問題となっています。
汚染された水から「ALPS(Advanced Liquid Processing System:多核種除去設備)」でトリチウム以外の放射性物質を取り除いたのが「ALPS処理水」です。東電や政府の説明では、トリチウム以外の放射性物質については安全基準を満たすまで除去しているそうです。また、トリチウムは、非常に弱い放射性物質のため人体への害はほとんどないそうです。経産省では次のように説明しています。
トリチウムが出す放射線のエネルギーは非常に弱く、紙1枚でさえぎることができます。そのため、体の外にある放射性物質から人が影響を受ける「外部被ばく」は考えられません。
トリチウムを含んだ水を体の中に取り込んだ場合も、水と一緒に速やかに体外に排出(10日程度で半分が排出)され、特定の臓器に蓄積することもありません。そのため、体の中にある放射性物質から影響を受ける「内部被ばく」も他の放射性物質と比較し小さい(例えば、トリチウム水の影響はセシウム137の約700分の1)です。
でも、きれいに除去して薄めると言っても、やっぱり放射性物質がついていた水を流すってことになると、心理的な抵抗はありますよね。そこは理屈と感情が折り合えないところはあります。
原発についてはよく、本当に安全なら、東京に作ればいいでしょ、などと言われることがあります。
処理水についても同じですよね。
原発が立地しているすぐそこの海に流すのが手っ取り早いけど、福島にはこれまでも大変な迷惑をかけているのだから、遠く離れたほかの海に流してもいいと思います。多少お金をかけてもいいでしょう。
原発を推進している議員の地元までALPS処理水のパイプラインを引いてそこで流してはどうでしょうか。