総合法律支援法に基づく、日本司法支援センターが4月10日に設立されました。
同センターについては、まだあまり知名度もなく、何をするところかも知られていないようです。
詳しくは法律や法務省内に設置されている同センターのWebサイトを参照していただくとして、ひとつ報道に関する問題を指摘します。
報道では、“「独立行政法人日本司法支援センター」が設立された。”などと書かれているのを散見しました。
しかしながら、同センターは独立行政法人ではありません。正確に言うと、独立行政法人の枠組みを利用した「独立行政法人類似の法人」です。
正確な意味での「独立行政法人」というのは、独立行政法人通則法の適用を受け、かつ、個別法によりその設立が規定されているものを言います。
司法支援センターは、独立行政法人通則法を部分的には適用していますが、全面的に適用しているわけではなく、また、個別法により設立されているわけでもありません。さらに、独立行政法人はその名称に必ず「独立行政法人」という文言を入れ、「独立行政法人○○○」という名称になっています。
司法支援センターが純粋な独立行政法人ではないことには、様々な理由があります。その理由の主要なものの1つは、同センターが国(裁判所)からの委託を受けて「国選弁護人指名・選任」の業務を行うこととなっていることです。
独立行政法人は、その名のとおり行政機関を外出ししたものであるため、同センターを独立行政法人にするというのは、国選弁護人関係の業務を行政機関が行うことと同じになるため、反対されました。その結果、独立行政法人の枠組みを利用して、裁判所や日弁連が関与する法人となったのです。
このような背景があるにもかかわらず、報道機関は、軽々に「独立行政法人が設立された」などと書いています。
報道機関は、国民に正確な情報を素早く伝えることが使命です。
今回の報道については、背景調べがなされていないというだけではなく、事実誤認に基づくものであり、報道機関の力不足を感じざるを得ませんでした。